初音ミク10周年とわたし【前編】

こんにちは、ジュリー下戸です。
今日はボーカロイド初音ミクさんの10回目のお誕生日!!おめでとう!!

わたしは、2007年~12年のあいだニコニコ動画に入り浸り、去年・今年の超歌舞伎でミクさんに圧倒されたのをきっかけにミクさんの情報を追いかけ始めました。

つまり、後半の5年間が空白なんですね。そのあいだに、ミクさんを取り巻く環境はどんどん広がっており、10周年を祝うSNSは大賑わい。わたしも御多分に漏れず、おっかなびっくり生誕祭に参加するなどしていました。
f:id:jurigeko:20170831010055j:image

初音ミク」は、ユーザーが作った楽譜に沿って、ユーザーの指定した歌詞を歌わせることができる音声ソフト「ボーカロイド」のひとつ。この10年、壮大な賛美歌からちょっとエッチな曲まで、さまざまな曲が投稿され続けてきました。

その投稿された曲を、こんどは人間が歌ってみたり、踊ってみたり、CGに踊らせてみたり。曲をイメージした動画を作ったり、演奏してみたり、絵を描いてみたり。「ボーカロイド」に創作意欲を刺激されたたくさんの人々が、これまたたくさんの作品を世に出してきました。

思想を持たないニュートラルな電子の存在・初音ミクさんは、自ら作品を生み出すことはありません。ただそこにいて、人々に可能性の翼をさずけてくれる。よく「ミクさんマジ天使」とミクさんを讃える声を聞きますが、それは本当にその通りなのです。

 

ジュリー下戸が勝手に選ぶボカロ曲10選

初音ミクさんとの出会いにより、「ボーカロイド」の曲に触れるようになったわたし。10周年だし、という安直な理由で、ボカロ曲を10曲選んでみました。投稿者、タイトル、歌っているボカロ、サビ、わたしの推薦文が書いてあります。

f:id:jurigeko:20170831010110j:plain

「ボカロ曲」は、その人工音声に抵抗を感じる人や、ミクの「青い髪のツインテール少女」というヴィジュアルが受け付けないからそもそも聞かない人もいると思うんですけど、ハマってしまうと生身の人間の声が聴けなくなっちゃうレベルで好きになってしまう、そんな計り知れない魅力があるのです。あんまり萌え萌え(死語)していないラインナップにしたので、今まで聞かず嫌いだった方もぜひ。ニコニコ動画のアカウントがない方は、たまにYoutubeにアップしている投稿者もいますから、是非検索してみてください!!

 

1.malo「ハジメテノオト」(初音ミク

空の色も 風のにおいも
海の深さも あなたの声も
ワタシは知らない だけど歌を
歌をうたう ただ声をあげて

なにかあなたに 届くのなら
何度でも 何度だって
かわらないわ あのときのまま
ハジメテノオトのまま…

わたしが初めて聴いたボカロ曲。初めて歌を歌うことができた初音ミクが、喜びをユーザーへ語り掛ける曲。初音ミクができることがずいぶん増えたはずの今聴いても、まったく色あせない名曲。あと調教がすごい、歌がうまい...(紹介が下手)丁寧に音符をたどっていくような優しい歌声、歌詞を見なくても聞き取れる明瞭な発音、衝撃でした。「あなたがかわっても 失くしたくないものは ワタシにあずけてね」という歌詞に、人ならざる者としての初音ミクを感じてグッときます

 

2.ヤスオP「えれくとりっく・えんじぇぅ」(初音ミク

アナタといられる それだけで
電子のココロ、震えるの
まるで量子の風みたいに
ワタシのココロ、ゆさぶるの

「ヒトリじゃ何も作れない」と自虐的かつ冷静なアンドロイドとしての初音ミク、音声ソフトとしての初音ミクが、ユーザーによって世界を広げられていく様子を描いた曲。初音ミクは、使ってくれる人がいて初めて存在価値が発生するシビアな次元に生きていて、だからユーザーの存在が彼女にとってどんなに大切で偉大なものか思いを馳せずにいられません。タイトルだけで判断してずっと聴いていなかった曲なのですが、ハチャメチャにかっこいい!

 

3.ジミーサムP「Escape」(初音ミク

どこまでも遠くへ
始まりの記憶へ 行こうか
遮るものなど何も無い
彼方 世界の果てまで

全部サビみたいな曲なので、歌詞のチョイスに迷いましたが一番開放的なとこを。大気圏突破をする曲です(?)。地球を飛び出して宇宙にエスケープする曲で、曲開始3分前後からどんどん上昇していって、3:42で完全に突破するんですが、もう、この解放感!!無敵感!!圧倒的宇宙!!!スペーシーなサウンドと、ミクとユニゾンで歌うジミー本人の歌声が心地よい。定期的に聴きたくなります。ジミーサムPの「Escape」以前の曲には宇宙を彷彿とさせる曲が多く、初音ミクの電子的な歌声がしっくりきます。

 

4.キャプミラP「幻想論」(鏡音リン

駅へ続く道の 小石が影になる
ごめんね ぜんぶ嘘だよ
笑いあった時もまぼろし

バイバイ 観覧車も
バイバイ 冬の星座も
バイバイ 観覧車も
バイバイ 冬の星座も

キャプミラPの処女作。これが処女作!!信じられない!!すぐそばにいるような、ずっとひとりぼっちのような。童話のような神話のような。色々な感情が渦巻いて、たまらない気持ちになります。ずっと忘れていた感情を揺さぶられるようなパワー。寂しく優しい曲です。鏡音リンちゃんの、文学少女みたいな雰囲気も好き。「幻想論」シリーズだと「枕木」が人気なんですが、わたしは1曲目のこれが一番好き。

 

5.1640mP「タイムマシン」(初音ミク

こぼれた涙一滴の 意味も分からずに
タイムマシンにゆられて 明日も元気で

溢れる涙抑え切れず 意味も分からずに
タイムマシンにゆられて また戻ってくるよ

ピアノのメロディが胸に迫る、爽やかでノスタルジックな気持ちになる曲。田舎と東京を折に触れて行き来していたわたしには、この「タイムマシン」がなんなのかよく分かる気がするのです。人によって違うと思うけれど。はじめの「得意げにつぶやいた 心配ないからと」の、ちょっとぶっきらぼうなミクの声がいじらしい。

 

6.小林オニキス「サイハテ」(初音ミク

雲ひとつないような 抜けるほど晴天の今日は
悲しいくらいに お別れ日和で

ありふれた人生を 紅く色付ける様な
たおやかな恋でした たおやかな恋でした
さよなら

タグ「ポップ・レクイエム」「歌葬」そして喪服のミクさんでお察しのとおり、この曲は愛しい人との永遠の別れの曲。でも、曲も動画もはちゃめちゃにポップ。そして、当のミクさんは終始無表情。泣くでもなく笑うでもなく、じっと前を見つめています。命のない、感情のない初音ミクが歌う死別の歌。慰めるでも励ますでもなく、ただそこにいて歌っている初音ミクは、ひょっとしたら一番悲しみに寄り添える存在なのかもしれません。

 

7.Neru「脱法ロック」(鏡音レン

エビバリ
現実逃避に縋れ 縋れ
負け犬になって吠えろ 吠えろ
理想像なんて捨てろ 捨てろ
それが 脱法ロックの礼法なんですわ
最底辺に沈め 沈め
社会不適合者に堕ちろ 堕ちろ
自殺点ばっか決めろ 決めろ
それが 脱法ロックの礼法なんですわ

年中イキっていこう〜

深く考えず聴くが吉。サビの語感が気持ちよくて何度でも聴いてしまう~!悔しいけどめちゃめちゃ元気出る~!あとMVのアクがすごい。年中イキっていこう~

 

8.OSTER project「Alice in Musicland」(たくさん)

お話をしよう
昔話より  もっともっと素敵な  おとぎ話
それはありふれた 魔法のフィロソフィー
みんなのハートに隠れた  ミュージックランド

約12分の超大作なんですが、あっという間です。ボーカロイド・ミュージカルとうたっている通り、本当にミュージカル。曲にのって物語がすすんでゆき、最後は見事に大団円!感情のこもった歌声、キャラクターの特性を生かした配役にウキウキします。ディズニーがお好きな方に全力でおススメしたい。動画もめちゃめちゃ凝ってます、すごい...。

 

9.くらげP「キライ・キライ・ジガヒダイ!」(音街ウナ)

アァ!愛されたい!愛されたい!あたし誰よりも
こんなにおおきくなったよ!ねぇどうしよう
アァ!ほめられたい!ほめられたい!みんなどこにいるの?
あたししかいない世界 自分の顔ももうわかんないよ!

ボーカロイドから数年離れていたあいだに、とんでもない女の子が出現していました。音街ウナちゃん。これがボーカロイドだなんて、何度聞いても信じられない。ここまできたの?と呆気にとられました。圧倒的に直球で、承認欲求の強い女の子の正直すぎる気持ちを歌い上げるウナちゃん、超かっこいいです。

 

10.ピノキオピー「君が生きてなくてよかった」(初音ミク

変わらぬ愛も 儚い恋も
君からすれば ただの記号で
正義も悪も 帰らぬ日々も
君の前では どうでもよくて
ずっと ずっと 君が生きてなくてよかった
ずっと ずっと 君が生きてなくてよかった
今日も

 初音ミク10周年に合わせて投稿されたピノキオピーの新曲。2009年からずっとニコニコ動画の前線を走り続けているピノキオピーの、初音ミクへのラブソング。人間ではない、生きていないボーカロイドの歌声に、ピノキオピー本人のコーラスが混ざり合って、次元の境界にいるような気持ちになります。わたしの考える「初音ミク」像は、ピノキオピーがすべて言語化してこの曲に詰めてくれました。

ピノキオピーは自身の声も曲に入れる(なんなら自分の声だけの曲も投稿している)、すでにアーティストとして活躍している方なんですが、わたしは彼と初音ミクの距離感がとっても好きで、さっきわたしは「ラブソング」と書いたんですが、「俺の嫁」ではなくビジネスパートナーのような、至極冷静な視点がある。それでも動画の中ではユニゾンで歌ったりしているので、それこそ「超歌舞伎」のように、三次元と二次元のあいだ、ボーカロイドと人間でなければ作ることができない世界で、とっても人間くさいことを歌っているのが本当に痺れます。お分かりかと思いますがただのピノキオピーファンです。なんならピノさんで10曲選べるくらいファンです。

f:id:jurigeko:20170831021310j:plain

なるべく各Pごとに1曲選ぶようにしたのですが、ピノキオピー・ジミーサムP・キャプミラPは好きな曲が多すぎて、それだけでもかなり苦戦を強いられました...ぜえはあ。

10年前、田舎に住んでいた友達の少ないわたしが入り浸ったインターネットで出会ったバーチャルな女の子。わたしは10年前とはずいぶん変わってしまった。歳もとりました。けれど、初音ミクは変わらない。人々の創作意欲を刺激し、クリエイターのミューズであり続ける。あの時のまま。初めての音のまま。

 

ジュリー下戸でした。ありがとうございました。