歌舞伎座・浮世風呂と、好きなものを好きだと発信すること

こんにちは、ジュリー下戸です。

 

先月の六月大歌舞伎は、かねてから興味のあった「浮世風呂」を鑑賞しました。突如思い立って出かけたので、当然のことのように幕見席。明日歌舞伎観に行こっかな~というときに対応できるこの制度、本当に素晴らしい。この演目は時間も短いのもあってか、立ち見が出るほど人気でした。

f:id:jurigeko:20170712235422j:plain

あらすじ

お風呂屋で働くお兄さん・三助政吉(市川猿之助丈)に恋をしたなめくじ中村種之助丈)が、恋心をサンドスターにフレンズ化!?ところがさんすけおにいさんは、塩をふりかけて撃退してしまうのだった。その後は仕事をしつつ踊りまくり、なんだか知らないけど因縁をつけてきた入れ墨だらけの入浴客をコテンパンに返り討ちにした三助。明日もお仕事頑張ってね。

↑ ざっくり書いてはいますが、おおむね合ってるよ!!!!!!

この「深く考えたら負け」みたいなテンションが最高に好きで、何よりなめくじが本当にかっっっっわいかったので、ひとりでも多くの人に観てもらいたくって、深夜興奮しながら描いたのがこちら。

 

f:id:jurigeko:20170713000625j:plain


自分自身でもRTしまくったため、結果として弱小ツイッタラーのわたしにしてはRT数も多く、「ジュリーさんの勧めで浮世風呂観てきた」という報告がちらほらあって、本当に嬉しかったです。実際いろいろな方にこの絵を見ていただけて、関係者の方から「見ました、描いてくれてありがとう」とメッセージまで頂いてしまって、いやいやこちらこそ、素晴らしいものを見せてくださってありがとうございます、と照れくさい気持ちになりました。

幕見席で観ていると、まるでタイムマシンに乗って、過去に干渉しないよう息を殺して場を見守っているかのような錯覚を起こすことがあります。今回の「浮世風呂」はまさにそんな感じで、自分が屋根裏に住むなめくじとなって、恋に焦がれる仲間を上から見守っているような、そんな気持ちになりました。朝日の差し込むお風呂屋さん、ゆげや湿気まで感じられそうで、軽やかに舞い踊る三助に目が釘付け。人間に恋したアイツ、とうとう人間に化けちまったよ、どうなることやら...という、ほかのなめくじのヒソヒソ話まで聞こえる気分。幕見席は確かに見えづらい部分もあるけど、わたしは大好きなお席です。

f:id:jurigeko:20170712231725j:image

次々に違う曲が演奏されて、それに合わせて完璧に体をコントロールしながら気持ちよく踊る三助。後ろに黒衣さんが控えていて、手ぬぐいを受け取ったり舞台を片付けたり、てきぱき仕事をしているのも見えます。美しい舞台、魅力的な役者、もう何から何まで素敵な空間に、うっとり見とれました。子供の頃無防備に触れていた、あのぬるぬるぬめぬめとした感触を思い出す、そんななめくじですが、なんだかその絶妙な気持ち悪さが癖になって、ずっと見ていたい気持ちに...。

着物に「なめくじ」と書いて、頭になめくじの角を生やして、動きもぬめぬめ、いい感じ。外国人のお客さんも、見ただけでなめくじと分かったのでしょう、クスクス笑っていて楽しそうでした。ただ、見ているだけでも十分に面白いのですが、踊りを通して江戸の風俗を覗ける、ちょっと勉強になる部分もあって楽しかったです。これだからイヤホンガイドやめられない~!!

好きなものを好きだと発信すること

今回、浮世風呂のイラストを公開しましたけれど、思えば、わたしが好きなものへの愛を表現するために「絵を描く」という手段をとったのは、小学生くらいの時だったと思います。絵を描くことは幼児の頃から好きでしたが、何か愛でる対象があって、その気持ちを絵にぶつける、という行為とはまた別のような気がします。
f:id:jurigeko:20170712231752j:image

ナムコが出していた「風のクロノア」シリーズが大好きだった

そしてその絵を同志と共有する楽しさも知りました。身近な人に、自分の好きなものを共有できる人がいなかったわたしが、インターネットの中に家を建ててそこに暮らすようになったのは、自然な流れでした。当時はpixivもtumblrも無かったので、わたしはYahoo!ジオシティーズでhtmlを駆使してHPを作りました。屋号をつけ、名前を名乗り、描いた絵を置いて、やってくるお客さんたちと交流しました。

ブログも色々とやりましたが、わたしの場合、どちらかというと「自分の日常を綴る」場としてよりも「自分の好きなものをまとめる」場として使う方が楽しいことに気づきました。絵でも文でも写真でもいい、とにかく好きなものを集めて、同じくそれを好きな人たちと語り合うのが、楽しくってたまりませんでした。
f:id:jurigeko:20170713104859j:image

その気持ちは、今でも変わりません。Twitterがある今の方が、むしろその楽しみは増していると思います。インターネットでは、発信した分だけ受信することができる気がします。もちろん受信しっぱなしでも構わないのですが、わたしの発信したものに対して、生で感情のこもった情報が、わたしに向けて集まってきます。それは必ずしも好意的なものばかりではないかもしれませんが、だいたいあたたかいものです。

わたしが歌舞伎を好きになった理由のひとつに「ファンが優しい」という点があります。優しいというのは、初心者がヘラヘラとわけのわからない感想を発信してもけなしたりせず「わたしもそれが好きだよ」と発信し返してくれるところ。

例えば、初めてワンピース歌舞伎を観に行った時、「人生初歌舞伎」という記念にと思って感想をツイートしていたのですが...

観終わった後の衝撃が大きすぎて、描いた絵とともにツイートを繰り返していたら、歌舞伎ファンの方が声をかけてくれました。「初めて見た人に、そんなに楽しんでもらえて嬉しい」とか「古典歌舞伎の要素が沢山詰まっていたから、ぜひ古典作品も観て欲しい」とか「来年お正月に浅草公会堂で歌舞伎やるよ」とか...自分のアカウントの通知欄がまるでキュレーションメディアのような機能を果たし、とても驚きました。わたしは素敵なものを素敵だと、それが好きだと楽しく発信していただけなのに、なぜか複数の人がそれを喜んでくれた上、情報共有までしてくれる。その流れで、あれこれやり取りしているうちに劇場で会うようなお友達になったり、LINEを交換して何気ないときに連絡をとるようになったりしました。

ワンピース歌舞伎の感想を書きまくってなかったら、友達になっていなかった人もたくさんいる

「好き」という気持ちを表に出すか、出さないか、それは個人が決めることです。ただ、わたしに限って言えば、どんどん表に出していきたいと思っています。絵を描いても、文章を書いても、ポエムを綴っても、「嗚呼~~~」だけのツイートでも良い。他の人がそうしているのも見たい。好きなものをみんなと共有して、その愛に共感したり触発されたり、絵にしたり文にしたり、語り合ったり壁打ちしたり、知り得た情報を共有したり教えてもらったりしたい。あわよくば、わたしが好きなものを好きな人が、もっと増えて欲しいという下心もちょっとだけあるんですけど。その方が盛り上がるもんね。

尊敬してやまないはせさんのツイートに、わたしは赤べこみたいにウンウン言いながらハートをつけました(はせさんはいつも最適な言葉を選んでわたしの気持ちを代弁してくれる)。そう。最高なのです。最高なんですよ!!世の中の人たちが、自分の好きな気持ちをどんどん発信していって、世界は「誰かが好きなもの」で溢れていることに気づいたら、楽しいに決まっているし、もっと生きやすくなりそう。主にわたしが。

最後にもう1回発信しとこ。今日も今日とて、わたしは歌舞伎が大好きです!

 

ジュリー下戸でした。ありがとうございました。