ジュリー下戸の歌舞かれて東京

歌舞伎のイヤホンガイド解説員になるのが夢のイチ歌舞伎ファンが書いているブログ

2016年ベストバイ「新宿のためのコート」

こんにちは、ジュリー下戸です。

今年も色々買いましたよ。でも、歌舞伎鑑賞を趣味にもうけてからというもの、服飾のためにお財布を開くのを渋るようになり、おそらく「東京に来てから一番服を買わなかった年」と言っても良いくらい、本当に服を買わなかった。そんな1年。

ところが2016年も暮れようというところで、わたしは運命的なお買い物をしました。本当に、運命のような、若かったわたしへの答えをくれたような、目の醒めるようなお買い物です。間違いなく、これは2016年のベストバイ。あんまり素敵なお買い物だったので、自慢させてください。

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街と服

上京してから驚いたことのひとつに「街によって人の雰囲気が異なる」というのがあります。銀座に行くとオシャレなマダムが、原宿に行くと目のチカチカするような洋服をお召しになった若い方が、青山に足を伸ばせばシンプルなのに「タダモノじゃない感」を醸し出す何かのプロっぽい人たちが、嗚呼、ティー・ピー・オー!と感心してしまうほどに、道を歩く人は街の雰囲気にしっかりと溶け込んで(もしくはその人たちが街の雰囲気を作って?)いるのが分かる。岩手にいたときはどこに住んでいようと皆同じ服を着ていたというのに。東京はこんなにも狭いくせに、こんなにも細分化されていて、なんて面白いんだろう。わたしも東京の一部になりたい。ずっとそう思ってきました。だから、どこかへ出かける時、その街に立っても浮かない、街並みに相応しい服を着ようと心掛けるようにしていました。

f:id:jurigeko:20161211211912j:image舞浜は東京じゃないけどね。

好きなものがあってよく通う場所って、自分の中に街のイメージができているからか何なのか、着ていく服にあまり迷いません。舞浜でオタクライフをエンジョイしていた頃は、とにもかくにも防寒!でも地面に座ったりするので、あぐらがかけてなおかつ下着が見えない丈のスカート。後ろの人の邪魔にならないぺたんこの靴を。そして「悪目立ちしないよう派手な色形を控える」というのも大事なルール。

f:id:jurigeko:20161212181709j:plain 一番どっぷりだった時。ニコラス...

川で憩うのが好きでよく行く二子玉川は、風でふくらむ膝下丈のスカート。煽られてもめくりきらない貞淑さ(?)がグッド。ナチュラル思考な街なので、籠バッグ(アタバッグ)を持っていくとなんだか安心します。ちょっと気取りたい気もするのでヒールのある靴を履くことが多いです(そして川原でひーひー言う)(TPOとは)。

そんな具合で、だいたいよく行くエリアにはこれを着ていこう、という街ユニホーム制度*1みたいのがわたしの中に存在するんですけども、それこそ上京してから8年間通っておきながら一向に服が安定しない街があります。

それが新宿です。

新宿のための服

学生時代から、もちろん社会人になってからも、新宿には足しげく通っていました。あまりにもルミネが好きすぎて、ルミネカードの会員だった時期もありました。伊勢丹が魅力的すぎて、ルミネカードを解約しアイカード会員になった時期もありました。クレジットカードで推し企業をアピる精神はどうかと思いますが、併用しなかっただけ一途でマシかな...(ちなみに今はいずれも解約している)。で、ニュウマンができた時、オープンしてからひと月経たないうちに、さっそく出かけたんです。が。

あ、わたし、お呼びでない...

と、思ってしまったのです。なんだかニュウマンに入った瞬間、もちろんどの店もきらきらまぶしく、良い素材のものをきちんと販売しているのが分かりました。で、その完成された世界の中でわたしの存在があまりにも惨めで、居心地が悪くなって、さっと見ただけで飛び出してしまいました。新宿に拒絶された!と思いました。

ルミネでも、伊勢丹でも、気づかないふりをしていたけど、わたしは新宿に対して自信がないんだな...と電車の中で考えていました。新宿を丸腰で歩きたくない。早く、胸を張って歩くことができる鎧が欲しい。で、そんなときインターネットはいつも味方です。とても心惹かれるお店を、タイムラインにのせて運んできてくれるのですから。

新宿ラブホ街にあるセレクトショップ「ザ・フォーアイド」。今年の秋にオープンしたばかりの新しいお店。状態の良い古着を、お手頃な値段設定で、新進気鋭の若いブランドのお洋服と一緒に、仮設ぽい雰囲気のスペースで売っている。ふむふむふむ。なんだか好奇心がそそられます。ここにありそうな気がする、わたしの一着。 こういう時の勘って当たるのですよね、不思議と。店の存在を知ってから数週間後、ひとり新宿ラブホ街へ直行です。こえー!!!

くれないのコート

寿命の縮む思いでたどり着いたお店。洋服屋さんにありがちな、衣桁にギュウギュウ詰めにされたかわいそうなお洋服はありません。ゆったり余裕を持って、2000円台のスカートなどでも「選ばれし衣類」といった風情で店頭に並んでおり、あー値段じゃないよなーとしみじみする思いがしました。

好きな漫画。「値段が高いモノ イコール いいモノだと思ってる男は---つまらん!!」というセリフが痛快。男だけじゃなくて女にも言えることよ。

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洋服へのリスペクト溢れる店内で、平常心でいられるわたしではありません。早く試着したい。でもお財布がめちゃくちゃ心配。とりあえず運命の一着を探すべく、こなれたそぶりで服を物色し、素材を見るふりをして値段を見ます。値段くらい堂々と見りゃいいのに、わたしのクソみたいなプライドが邪魔するんです。面倒くさい客ですみません。たぶんバレてる

素材に気を使う意識の高いわたしという小芝居を誰にでもなく繰り広げながら店内をうろうろしていたわたしでしたが、1着のコートに巡り合いました。

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バーバリーのコート。一番上のボタン以外は隠れるようになっていて、限りなくシンプルなデザイン。穏やかなAラインのシルエットが素敵。ゆったり着られるのに手はきちんと出る(萌え袖嫌い)。何よりアンゴラとウールで軽くて温かくて、あ、これ!これだーーー!と思いました。ビビビときました。風が吹いた...

 恋をすると風がハミングするんですよ

思わずお会計中に「あの...着て帰ってもいいですか...」って聞いてしまいました。恥ずかしい。どんだけ着たいんだよ。でもお店のお兄さんお姉さんは「それがいいよ!これほんとにいいコートなんですよ。あ、値札切りますね」「ほんとに似合う!かわいい!買ってもらえてよかった~」と気持ちよく用意してくれて、赤いコートを着たわたしを見送ってくれたのでした。ありがとうございます...嬉しかった...!!

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赤いコートを着てラブホ街を後にし、ピカデリーから伊勢丹紀伊国屋を通り過ぎて新宿駅へ。その道すがら通りがかるショーウインドーというショーウインドーに、この赤いコートを着たわたしを映してはほくそ笑みました。いいぞ。背筋は伸び、表情も自信に満ちている。新宿はもうわたしを拒絶していない、わたしは胸を張って街を歩くことができる。あれ以来トラウマになって行けていないニュウマンにだって、今なら行けちゃいそうな気持ちさえします。

実際のところ、このコートが果たしてわたしに似合っているかは分かりません。このコートが新宿の街に相応しいのかどうかも。もちろんその感覚は人それぞれですが、服を着るのはほかでもないわたしなのです。それに「このコートは素晴らしい」という事実は変わらない。そこに付加価値をつけて楽しむんです。だってわたしが買ったんだから!

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ああ、ファッションなんて全然詳しくないし、全然お洋服持ってないし、貯金もないけど、それでも。おめかしって、いいですね。来年はどんなアイテムに出会えるのでしょうか、ワクワクしながら新年を待ちます。

ジュリー下戸でした。ありがとうございました。

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*1:オシャレかどうかではなく、自分が好きな服の組み合わせで「この街に着て行きたい」というものを選ぶこと。勝負服というより武装に近い。