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ジュリー下戸の歌舞かれて東京

歌舞伎のイヤホンガイド解説員になるのが夢のイチ歌舞伎ファンが書いているブログ

「連獅子」を観て来ました

こんにちは、ジュリー下戸です。

先日、新宿ラブホ街にあるセレクトショップTHE FOUR-EYEDに行ってきました。

最高だったので、お洋服好きな方は是非。お値段も、お手頃なものから本気出さないと買えないものまで。奇抜なデザインの洋服がズラーリ、なイメージでしたが、そんなことはなかった!!わたしの周りでも気になってる人が多いのですが、本当に素敵なので行きましょう。意外と1人でも余裕です。ツウっぽくて良い気分になれます。

祝勢揃壽連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)

以前の記事で、ザ・カブキ!演目のひとつとして「暫」を紹介したことがありました。

わたしの中でもうひとつ、KABUKIといえば!な演目があります。それが「連獅子」!歌舞伎を知らなくても、そのヴィジュアルを見れば「あー」と思うはず。真っ赤(あるいは真っ白)の長い毛を被り、頭をぶんぶん回すアレです。
f:id:jurigeko:20161207180303j:imageコレ。

この「連獅子」が、中村芝翫とその三人の息子たちで掛かると聞き、これは絶対に観なくっちゃ...!と思い歌舞伎座へ向かったのでした。連獅子は、獅子の親子のお話。実の親子で演じるなんて、素敵じゃないですか...!

ていうかまず、ポスターがかっこよすぎる。

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「連獅子」は舞踊。「獅子もの」と呼ばれるジャンルがあって、そのうちのひとつです。袴に描かれているお花は、牡丹。「百花の王」と呼ばれる牡丹と「百獣の王」である獅子のセットというわけですね。

あらすじ

獅子は、子を谷に落とし、這い上がってきたタフな子供だけを育てるという伝説がある。獅子の父親は、かわいい我が子を谷に落とし、上がってくるのを待つが、子供は谷底で力尽きてしまう。子供が上がってこないので心配する父が、谷底を覗き込むと、水溜まりに顔が映りこんだ。それを見た獅子の子供たち、勇気100倍(イヤホンガイドより)!ものすごい勢いで谷を駆け上がり、父親の元へ駆け寄ると、父も一安心。みんな大きくなれよ!

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能が歌舞伎化したこの「連獅子」という演目は、言うなら「上」「中」「下」と話が分かれています。「上」は、獅子が子供を崖から落とし、上がってきた子だけを育てるという伝説に基づく舞踊。「中」は狂言。登場人物が「この辺じゃ獅子が出るらしいですよお~」と会話で触れるものの、獅子は出てきません。滑稽な動きが面白くて、思わず笑ってしまいます。「下」で再び獅子登場、ただ今回は「獅子の精」として、紅白の長い毛を生やして舞います。ここで「毛振り」です。

この「上」にあたる部分、獅子の伝説に基づくストーリー仕立ての舞踊が本当に感動的でしたので、ブログではこの部分について感想を書きます!

親子愛

芝翫丈と橋之助丈・福之助丈・歌之助丈は、言わずもがな正真正銘の、血のつながりのある家族です。4人が力をあわせ、舞台でひとつの作品を作り上げる様子を見るだけでも胸にグッときます。橋之助丈はハタチ。立派な成人男性なのですが、一緒に舞台に立つ芝翫丈の大きいこと!!どっしりとして迫力のある、まさに「親獅子」。芸では師弟関係にある歌舞伎の世界を垣間見た気分になりますね。一方、末っ子の歌之助丈はまだ15歳、顔も小さくてお目目がクリクリしてて、もうマジでかわいいです

崖を登っても登っても蹴落とされてしまう3頭に、厳しい稽古を続けながらも芸を磨く3人を重ねずにいられようか!!がんばれ~がんばれ~と、エールを送りながら観てしまいます。

舞踊の中で、一番好きなシーンは、やはり子獅子が崖を駆け上がってくるところ!


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親獅子に崖から落っことされた子獅子3頭は、力尽きて、谷底にある木陰で休むのですが、そこは、ちょうど親獅子から見えないところなのです。花道で三人並んで目を閉じ、休んでいる。そこで、ソワソワしてしまうのが親獅子です。

おかしい。1頭も上がってこない。さっきまで、せっせと崖をよじ登る様子が見えたのに、今は誰の姿も見えない。親獅子は心配になって、崖の上でそわそわうろうろしだします。舞踊なので、まあそわそわしつつもちゃんと踊っているのですが、ゆったりしたテンポの曲に親獅子の子を想う心がのせられるので、なんだか胸がギュッとなってしまいました。

ついに、親獅子は谷底を覗き込みました。谷底には、水溜まりがちょっとあって、そこに親獅子の顔がぱっと映りこみます。

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その親獅子の顔が、子獅子の目に飛び込んできました。自分たちを案ずる、大好きな父親の顔が見えたとたん、子獅子たちは突然立ち上がり、ものすごい速さで崖をのぼり出すのです。そして親獅子のもとへ飛び込んでいく。3頭ともです!

ホッとしたような親獅子の表情から、力を取り戻して親の元へたどり着いた子獅子の表情(表情といっても、役者は露骨に笑ったり顔を歪めたり、ということはしていません。でも、体の動きが本当に表情豊かなのです)も含め、心揺さぶられて、まさかとは思いましたが泣けてしまいまいた。親の子への愛、子の親への愛が舞台に溢れていました。クライマックス、牡丹の中で戯れながら親子は舞うのでした。幸せかよ。ハッピーエンドかよ。最高かよ~~~!!!!(号泣&拍手)

連獅子の毛

これはイヤホンガイドで仕入れた、豆知識なんですが...。

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連獅子のかつらの毛質に、目が釘付けでした。「つやがある」というわけではないけど、決してゴワついてはいません。ふわふわと軽そうで、人の動きの衝撃で柔らかく揺れ、でもあるべき位置にスッと戻り、1本1本がしっかりしているけれどよくまとまり.......頭を振る時、弧を描いて舞う赤い毛が本当に美しかったです。

この毛、聞いたところによると「ヤク」の毛だそうなのです。
f:id:jurigeko:20161207150516j:image ヤク - GATAG|フリー画像・写真素材集 3.0

写真は黒いヤクですが、白い個体もおり、子供獅子のかつらはその毛を赤く染めているんですって!マットで、遠目で見てもはっと目をひくあの赤は、ヤクの生命力によるものなのかもしれません。

イタリアのブランド「FAY」のファッションショーで、中村芝翫橋之助親子が連獅子を披露したときの動画。連獅子が毛を振り終わった後、乱れた毛並を後見さん(後ろに控えているアシスタント)が撫でて整えてあげるのが最高にキュートなので、後半だけでも見てほしい!

 

ジュリー下戸でした。ありがとうございました。