ジュリー下戸の歌舞かれて東京

歌舞伎のイヤホンガイド解説員になるのが夢のイチ歌舞伎ファンが書いているブログ

はじめて歌舞伎を観てから一年が経ちました

こんにちは、ジュリー下戸です。

今日は11月10日。この日はわたしにとって、一生涯忘れられない、とっておきの記念日。わたしの人生を救ってくれた、運命の出会いをした日。そう、「歌舞伎を初めて観た日」なのです!!
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詳しく言うと、2015年11月10日、好奇心を抑えきれなかった25歳のわたし(仕事が辛く悶々とした日々を送っている)は東銀座の新橋演舞場へ赴き、ワンピース歌舞伎を観てきたのです。歌舞伎の知識ゼロのわたしが、理屈抜きで心から楽しいと思えるエンターテインメントがそこにはありました。どうも気になる役者さんを見つけ、もう一目見たさに正月の浅草で古典歌舞伎初鑑賞。それからはだいたい、ひと月に1~2回の頻度で劇場へ通っています。

f:id:jurigeko:20161110225502j:imageチケットをとっておいています

基本的に、あまり「おかわり」はしません。...できないというのが本音。その代わり時々、遠征をするなど贅沢をします。毎回毎回、わたしにとっては特別な「ハレの日」。仕事の日より化粧はきちんとしますし、何を着ていこうか前の日から考えます。席に着いたら背筋を伸ばし、スマホの電源を切って、舞台世界にどっぷり...。舞台の楽しみ方は人それぞれですが、わたしは割と何度も何度も通うより、その1回に全精力を注いで鑑賞するスタイル。「あの演目、観ておくんだったーっ」てあとから後悔することもあるけれど。

1年観た演目で印象に残ったもの

1年間色々な演目を観て、そのどれもこれもに笑わされ泣かされ、ヒドイ目にあってきたのですが、その中でもわたしのインパクトに残った演目(とキャラクター)をご紹介します。「ワンピース歌舞伎」はあまりにも特別すぎるので、それ以外でね。

六月大歌舞伎「義経千本桜」

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源九郎狐といえば、新春浅草歌舞伎で尾上松也丈、歌舞伎座市川猿之助丈が演じている「四の切」を観ました。鼓にされてしまった両親を追いかけ、義経の家来・忠信がいない隙に忠信に成りすまします。みんなうまいこと騙されているのですが、時々ふっと見えなくなったり、鼓の音がしたと思ったら現れたりと、化けギツネ感満載。義経に鼓を持ち帰ることを許されたときの喜びようったら!!松也丈の源九郎狐は、ずっと親孝行したいと思っていたけどかなわず苦しむ若い狐、猿之助丈の狐はまだ親の手が必要な愛すべき小狐に見えました。ファンタジックな、人ならざるもの。舞台で跳ね回る狐っ子に、顔がほころぶこと請け合いです。

コクーン歌舞伎「四谷怪談」

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銀座を離れ、劇場は渋谷・Bunkamuraシアターコクーン。古典を継承しながらも、現代の演出や出演者を入れこんだ新しい歌舞伎「コクーン歌舞伎」。中村扇雀丈演じる女性・岩は、あの目の上に瘤のあるように描かれる「おいわさん」その人です。ただただ辛く哀れな彼女の運命に、わたしまで悔し涙。実は観に行く前、ネットには賛否両論の劇評(?)が連なっていました。それで随分怖気付いてしまっていたのですが、いざ観てみたら本当に面白く、ああ、まどわされずに観て良かったな...と思ったのでした。面白いかどうかは、結局自分自身が決めること。そんな当たり前のことを、身を持って実感した日でした。

芸術祭十月大歌舞伎「女暫」

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こないだ観てきたばっかり。伝統芸能としての歌舞伎の様式美やお約束事をこれでもかと堪能したあと、壮絶なインパクトのある出で立ちのヒロイン登場。誰にも追い詰められることなく敵を一網打尽。お宝も戻って大団円、そんなストーリーはもちろんのこと、幕が引かれてからのメタっぽいやり取りが何とも言えず愉快で、本当に楽しかったです。巴御前の格好をした中村七之助が「中村七之助です、衣装重いから早く脱ぎたい」って、花道で言っちゃう。「えっ、歌舞伎でそんなことしちゃっていいの?」と、今まで何度も驚かされてきましたし、その度に歌舞伎は「いいんだよ」と不敵に笑うのです。

中村壱太郎丈が、最近発売した書籍「僕らの歌舞伎」の中で面白いことを言っています。

...(歌舞伎という)囲いの中で、如何に自分が楽しめるかということが大事だと思うのです。また、その囲いが小さいわけじゃない。とてつもなく大きい枠の中で、枠からはみ出さず、自分でやりたいこともやる。もちろん枠のコアな勉強も必要で、両方を大事にしたいと思います。

(P.132 「プリンス&プリンセス・カズ 中村壱太郎」)

 

歌舞伎観劇はつづく

ああ、歌舞伎。エンタメと、江戸時代から残り続ける様式美。ここまで残すのに色々なものを削ぎ落としてきた結果残った、何代にも渡って洗練されてきた舞台がある一方、こんなに充実した演目が揃っていながらさらに新作をぶち込んでくる心意気もものすごいのです。沢山いる役者の個性も、演目そのものの面白さも、わたしを1年間ずっと楽しませてくれました。わたしがおばあちゃんなるまで、どうか歌舞伎のご関係者さまがたがくれぐれもお元気に舞台を作り続けることができますように。

そしてみんな、歌舞伎を観よう。一般教養に...なんて肩肘張らずに。

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ジュリー下戸でした。ありがとうございました。