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ジュリー下戸の歌舞かれて東京

歌舞伎のイヤホンガイド解説員になるのが夢のイチ歌舞伎ファンが書いているブログ

わたしを構成する9冊

こんにちは、ジュリー下戸です。

彼氏が「超」のつく読書家なので、名乗るのは抵抗があるのですが、割と読書好きです。以前、「#わたしを構成する9枚」「#わたしを構成する9冊」なんてタグが出回って盛り上がっていましたが、遅ればせながらわたしもやってみようと思います。意外と、時期があくとラインナップが変わったりして、面白いんですよね。ウフフ。

わたしを構成する9冊

るきさん (ちくま文庫)

るきさん (ちくま文庫)

 

以前文庫本で買って、ボロボロになるまで読んでいたのですが、度重なる引越しの連続で気づいたら紛失してしまっていました。落ち込んでいたところ、 最近、装丁を変えてリニューアル再販しているところを見つけて再購入。

私鉄各停駅に住む独身女性るきさんと、友人えっちゃんのなんてことはない日々をつづった漫画です。舞台はバブル真っ盛り、えっちゃんは割と謳歌しているのですがるきさんは高校の頃のセーターと去年えっちゃんにもらったスカートをはいています。趣味は切手収集で、電車の中でマスクをつけてスポーツ新聞を読む"勇気"を持っている。

るきさんとえっちゃんは、学生時代からの付き合いのようですが、生活リズムも性格も趣味もまるで一致しないのにうまくやっています。その距離感が何とも心地よく、るきさんとえっちゃんのように女同士のんびり交流していけたらどんなに良いだろうかと思います。そこは、ちょっとうらやましいところ。

お話もキャラクターも魅力的ですが、なにより、さらっとした絵柄と、色数を絞った色彩感覚がとても素敵で、眺めているだけで楽しいです。るきさんを見て、オシャレ心が疼いたり、背筋が伸びたり気合いが入ったりはしませんが、「いいなあー」と心がまろやかになります。好きな本は何ですかと聞かれたら、もう、絶対これです。

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ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫)

ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫)

 

 今まで読んだ本の中で一番ヘビーで、ダークで、スペクタクルで、本当に本当に面白かったけど、もう2度と読みたくない。そんな本です。「ガダラの豚」は全3巻で、1巻は日本、2巻でアフリカ、3巻でまた日本、と舞台が変わります。1巻は壮大な前振り、2巻で敵と衝突、3巻で敵が追っかけてきて対決、という感じです(1巻...)。

アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。日本推理作家協会賞受賞作。

全編を通じて、ずーーーっと、冒頭から終盤までずーーーっと不気味です。ただ登場人物、とりわけわれらが主人公大生部が何しろアル中なので、時々アルコールをあおって物語からフェードアウトするのですが、主人公がそんなんなのでホラー的な怖さはありません。

でも、でも、でも、怖いんだよ~~~!!!まず、1巻を読み終わってから2巻を読み始めるまでに1週間あいだをあけないといけなかった(決心がつかない)し、寝る間を惜しんで3巻を読み終えた後は1ヶ月くらいずっと興奮して怖くて電気つけて寝てたし、こんなに「読書体験」というワードを身を持って体感したことはなかった。書籍に圧倒される、日常生活に支障をきたすという体験をした、初めての本です。

わたしがこの物語で一番怖かったセリフは「それは、キロンゾだよ」。思い出すだけで鳥肌がぞわぞわ...。

 

毎月新聞 (中公文庫)

毎月新聞 (中公文庫)

 

 ピタゴラスイッチ、だんご3兄弟の生みの親である著者が、毎日新聞の片隅で月一回連載していたその名も「毎月新聞」。ひとつの話題について、丁寧に話を展開していくのですが、さすがというか、明瞭で易しい文章に心が落ち着きます。

いわゆるコラムなのですが、扱うテーマも独特です。表紙にもなっている「会話において『じゃないですか』を使うのってどうなの」という話題をはじめ、「ごみ袋をゴミ箱にセットしたら、ごみ袋の入っていた袋をそのゴミ箱にセットされたごみ袋に入れる、という事象が起きたときのクラクラすることを『日常のクラクラ構造』と呼ぶ」とか、え、そこかよ、ほかにもっとコラムに向いている事象が山ほどあって、新聞に掲載するにあたって選んだテーマがそれかよ、というふうな。

佐藤さんの文体を、ちょっと気取って評するなら「エスプリがきいてる」というのでしょうか。知的で、大人です。落ちつけがましくなくて、ずっと読んでいたくなる感じ。ものを見る、考える、ということが少し楽しくなります。「着眼点を変える」の見本を見せてくださっていて、わたしもやってみよう!という気持ちになります。

 

銀河鉄道の夜 (ますむら・ひろし賢治シリーズ)

銀河鉄道の夜 (ますむら・ひろし賢治シリーズ)

 

 岩手県出身なので、宮沢賢治先生の作品とともに育ってきたのですが、ジョバンニとカムパネルラが猫でなくてはならない理由が「ますむらひろし」という存在なのです。

宮沢賢治先生の描く世界を、注意深く描いていく技術がものすごい。「銀河鉄道の夜」という作品は、たとえ「セロひきのゴーシュ」や「グスコーブドリの伝記」を知らなくても、おそらくみんな知っている。銀杏BOYSも「僕はもう空の向こう飛び立ってしまいたい」って歌っていたし、絵本だってたくさん出ています。それでも、ますむらひろしにはかなわない。街の風景、宇宙に咲くリンドウの花、サザン・クロス、石炭袋、どれも確かな存在感がありながら、どこか夢のなかのことのような、心がそわそわするような描かれ方をしています。モノクロなのに、めまいがするほど美しい。胸がぎゅっとなる思いがします。

小学生のときに、家に文庫本があって(けんじワールドというところで買った)ずっと読んでいたのですが、大人になってからふと思い出して、メルカリで買いました。メルカリありがとう。

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うにっき

うにっき

 

 イラストレーター「おおたうに」さんの日記。登場人物も、うにさんのご友人がた。内容も、完全に内輪ネタ。うにさんの着た服、したこと、食べたもの、話したことなどが延々と書かれていて、まあ毎日見事に充実しており、田舎の女子高校生だったわたしは目を真ん丸にしながら読みふけっておりました。ええ、バイブルといっても過言ではないかもしれません。「友達とつるみながら、オラオラ生きていきてえ」と本気で思いました...

「日記を公開する」という行為も、うにっきの影響が大きいです。うにっきという、イラストレーター(顔を出すような芸能人とは違う)の日記が書籍になって売っている、というのがわたしの人生に光を射しました。芸能人じゃなくても、日記をかいて読んでもらえるんだ!と衝撃でした。そしてせっせと、いろんなブログサイトでブログを書き、それなりに交流もでき、インターネッツにのめりこんで行って今があるという感じです。

うにっきがわたしにもたらしたものは計り知れません。内容、ちっとも覚えていないんだけど、読んだときのワクワクした気持ち、わたしもこんな風に暮らしたい、という憧れの気持ちは忘れられない。

 

ぐるんぱのようちえん(こどものとも絵本)

ぐるんぱのようちえん(こどものとも絵本)

 

 わたしの家には絵本がたくさんあって、幼稚園年長さんのときには、字がまだ読めない友達に読み聞かせをしてあげていた記憶があります。生意気な園児ですね。

お気に入りの絵本はたくさんあって、「ねぼすけスーザと赤いトマト」や「3まいのおふだ」「3びきのやぎのがらがらどん」は内容も絵もしっかり覚えていられるのですが、大人になってからも時々本屋さんで手にとって、職場の絵本のラインナップにこっそり加えて、読み返して心の支えにしているのは、この「ぐるんぱ」一択です。傑作だと思います。

薄汚れて、働きもしない、グズグズなゾウの「ぐるんぱ」が、群れのゾウたちに「働いてこい」と送り出されるところから物語ははじまります。ぐるんぱは、それはグズなので、だいたい何をやってもうまくいきません。しょんぼりしながら次の職場に行って、また追い出されてしょんぼりする、この繰り返し。このぐるんぱがかわいそうすぎるし自分自身に心当たりもあって、大人になってからはこの辺でもう涙ぐむ。ラストなんか、書店で立ち読みした日には不審者です。嗚咽漏らして泣きそうになります。

働くことって、つらいけど、きっと自分にむいていてみんなも喜んでくれるポイントが絶対に存在して、それを見つけられたらこんなにも幸せになれるんだな、ということに気が付きます。そして、何度失敗しったって、ひとつも無駄なことなんてないんだよと優しく教えてくれる。

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パリジェンヌの日記

パリジェンヌの日記

 

 今改めて思いしたら「オランピア・ル・タンが出てた!!!!」と衝撃を受けました。もう、パリジェンヌいーなー、パリジェンヌになりてえー、次生まれたら絶対パリジェンヌになるんだー、という気持ちにしかならない本。最高。

複数人パリジェンヌが、1日のスケジュールや、お部屋の様子などを教えてくれる、ほんとにただそれだけ。「うにっき」もそうだけど、特に中学高校と、田んぼと国道沿いのチェーン店、イオンモールだけがわたしの世界だった時期、パリとトーキョーは同じくらいの比率で憧れの土地であり、そこで暮らし仕事をすることこそ正しいと信じていました。だから当たり前のように、高校卒業と同時に家を出たし、行く場所は東京しか考えていませんでした。

いまとなっては、それだけが人生ではないと分かります。大人ですから。それでも東京にじっと暮らしているのは、パリへの憧れが消えないのは、ティーンのときにずっとわたしに寄り添ってくれていたこの一冊の力なのだと思います。

友達に貸したら、かえってこなくて、今手元にないのです。また読みたいので、もう1度買おうかなあ。

 

ギャグマンガ日和―増田こうすけ劇場 (巻の1) (ジャンプ・コミックス)

ギャグマンガ日和―増田こうすけ劇場 (巻の1) (ジャンプ・コミックス)

 

 オタクでした。ニコニコ動画の視聴も投稿も、イラストサイトも、同盟も、サーチエンジンも、お絵かき掲示板もお絵かきチャットも相互リンクもキリ番web拍手も毒吐きネットマナーも、全部全部思い出です。ギャグマンガ日和(わたしは日和と略すのが好き)は、わたしの取り扱った主たるジャンルでした。

ものすごくツボにハマるギャグもあれば、全編通じて「???」となってしまうお話もあったりと、わたし個人としても手放しで人におすすめできるわけではないのですが、この「死んだ目をした登場人物たち」がまた、なんというか...深読みしがいがあるというか、オタクの二次創作心を疼かせるのです。

わたしが大好きなのは、すべての日和オタがそうであるように、飛鳥組(聖徳太子小野妹子、フィッシュ竹中)と冥界組(閻魔大王と鬼男)、それから奥の細道組(松尾芭蕉曽良)、電話組(グラハム・ベルとワトソン)。だめな上司、振り回される部下という構図がお得意で、部下の上司に対する態度もそれぞれ違っていて、比較して楽しむもよし、部下のとりかえっこなどで妄想を膨らませるもよし、という具合で、はかどるはかどる。漫画と同じくらい、自分の二次創作内世界を愛でる。不純なものです。でも、あのときの謎の創作意欲、いったいなんだったんだろう。暇だったのかな。

 

買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて (文春文庫)

買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて (文春文庫)

 

 これ、発売して間もないのですが、すでに、この段階で、もう間違いなく、決定的に、わたしを構成する9冊に入ると確信が持てたのでご紹介します。「ここは退屈迎えに来て」の山内マリコさんが送る、痛快お買い物エッセイです。挿絵は、わたしと同世代の川原瑞丸さん。

30代、安いものを身に付けるとバレてしまう、"本物"を欲する時期。でも、色にときめいて購入したルージュは、見た目がシャチハタくさい...というような、お買い物にまつわる悲喜こもごもがテンポよくつづられていきます。お金のかかった本に関するお話は、衝撃でした。このフルカラーなのにお手頃価格の本の裏側に、こんな物語があったなんて...(読んでからのお楽しみ)。

わたしももう今年で26、ダイソーニトリの食器なんか使っていられるか!!と百貨店や焼き物屋でちょっといいお皿を買ったり、ルミネエストよりルミネツーで買い物をすることが増えたりと、「お買い物」に対して姿勢を変える必要のあるタイミング。たまに失敗して猛烈に落ち込んだり、素敵なお店や店員さんと出会い「買い物こそ我が人生」と唇をかみしめたり、そんなわたしに寄り添ってくれる素敵な1冊。山内マリコさん、ありがとう。ちなみに「ここは退屈~」は身に覚えがありすぎて心えぐられすぎて、読み返せません笑

振り返って

わたしは、書籍にあまりエンタメ性は求めていなくて。ハリーポッターブームのときも、読んだけど「そんなに?」って思ってしまって乗り切れずだったし、指輪物語も然りだったし、まわりは白夜行を一生懸命読んでいたけどわたしはそんなことよりエッセイを読みたかった。わたしの心にそっと寄り添って、ときどき読み返して、どこかでわたしを支えてくれる。ティーンエージャーで読んでいた本の内容を、わたしは10年経っても覚えてる。それって、すごいことだなあ。

これから先も、忘れたくないような素敵な本に巡り合えますように。

ジュリー下戸でした。ありがとうございました。